アジア・マスターズ陸上が開催されたので心の備忘録(長文)

 昨日まで、アジアマスターズ陸上が北上で開催されていた。私は現地には行かなかったのだが、速報結果を見ると、日本人上位入賞者としてM35(40歳以下)に井盛選手、M40(45歳以下)に赤堀選手など、我々世代の有名選手がいて、未だに10秒後半から11秒前半という記録を残している。現役当時(*今でも現役なので表現が難しい)から10秒台前半の記録を出していた彼らであるが、この年令までこの記録で走っていることに、偉大さを感じるとともに敬意を感じる。
 昨年、武井壮さんが世界マスターズに出場して入賞したのがテレビで報道されて、マスターズに出場する人が増えたことと思うが、先の彼らはそんなブームとは関係無く、若手の頃からほぼ継続して走り続けていたに違いない。言い方は悪いが、彼らは惜しくも日本のトップレベルには成れなかったレベルだけに、速くなりたいという思いと夢を、きっとこの年齢まで維持し続けることが出来たのかもしれない。競技を続けるというのは、大きなモチベーションと努力が必要なのだと思う。
 今回M40で1位となった赤堀選手、私と同じ歳であるものの、個人的には付き合いの無い選手であるが、私が大学院生の時に彼と接触したことがあった。私が東大駒場キャンパスで研究をしていた大学院生の頃、東大の陸上競技場で100m走のスピード曲線を記録する装置のテストをしていたときに、たまたまその日にそこで練習していた実業団所属の赤堀選手が居た。トップ選手でテストしてみたいと思い、面識も無いのに声をかけてみたところ、嫌な顔ひとつせずに応じてくれた。それどころか、データを見ながら説明を受け「じゃ、次はここを意識してみるので、もう一度」と向こうから2回めの測定を誘ってくれた。そんなやりとりから、彼の人柄と競走という種目への熱い思いを感じました。その後、残念ながら、彼との接触することは無かったし、彼も怪我により日本代表になることも無かったが、彼が未だに大会に出場し続けていることを数年前に知り、心のなかで応援し続けていた。なので、アジアマスターズ、彼の記録を楽しみにしていた。残念ながら10秒台は出なかったけれど、それでも11秒1って凄い。今後もそっと見守り続けたいと思う。
最近、小学生陸上にも関わっていて、発育に応じて学年毎に順位をつけているのが認められているようにマスターズの価値を感じることがある。むしろ、発育により記録が伸びる小学生以上に、老化に抗しながら記録を維持し続けるマスターズの凄ささえ感じる。そして、最近、自分自身も走ってみたことで、彼らのタイムの凄さをより一層感じることが出来たので、この気持を忘れないように、ここに記す。