痒いところに手が届いた

たまには研究の話。
昼間にノーアポで高速度カメラを扱う業者が研究室を訪問してきた。SD(ハイビジョンじゃない企画)の高速度カメラのセット、4台のカメラが1セットで500万円ですが如何ですが?と。
同じ業界の方ならご存知と思いますが、私たちの研究分野では、ものの値段が世間からかなり離れています。しかしながら、高速度カメラの価格は昨年くらいから破壊が起こっており、民生用と呼ばれる家庭用のビデオカメラ(CASIO EXILIM EX-F1)でもSDで毎秒300コマ(狭小であれば1200コマ)での高速度撮影が可能なものが10万円前後で販売されています。細かな設定等に関しては業務用に及ばないのですが、大学での実習で使う分には十分なのではないでしょうか
私の研究室でも、昨年、これを8台購入して、現在も使用しています。ちゃんとした実験で使うには、動画の設定や録画ボタンを開始するためのリモコンがないのが、このカメラの困る点です。バイオメカニクスの実験では、画角内の映像を校正する(長さを測ったりする)のですが、カメラを三脚に固定してから校正の作業をすると、その後は1ミリたりとも動かすことは出来ません。校正作業にはかなりの時間を要します。仮に動いた時には、再び校正をし直す羽目に合います。ここで問題になるのが録画のスタートボタン。そっと押してはいるものの、若干 画面が動いている気がしなくもない。データのディスカッションをする時には、必ずといって良いくらいこの点が指摘される訳です。メーカーに電話して、何とかならないかとリクエストしたりしていましたが、リモコンが発売される気配はありませんでした。こんな特殊な使い方をするのは私たちくらいなもんだろう、だから真面目に対応なんかしてくれるはずはないか......所詮は実習用かな?とあきらめておりました。
ところが、最近、このカメラをPCを使って設定・操作・PCのハードディスクに保存することが出来るようになりました。カシオのウェブには「研究室内での実験やスポーツにおける動きの分析など、カメラを固定しての撮影に最適です。」と記載されています。我々の相談が伝わったのか?それとも別の大学の方々も相談していたのか分かりませんが、有り難う、カシオさん! まさに、痒い所に手が届いたという感じです。
ということで、今日、院生の渡辺くんと二人で格闘し、この機能を試してみました。この機能を使う為には、まず、カメラのファームウェアをアップデートする必要があり、データ記録用のSDカードの中に、パソコン経由でファームウェアを保存し、続いてカメラをアップデートする必要がある。この時に、何故か、ACアダプタを使っているとアップデートされないのですが、これに気づくまでに時間がかかった。でも何とかアップデートして、操作用のソフトウェア(無料)をインストールして、カメラを使用してみました。カメラのボタンで録画の設定するよりも操作性が良く、PCの大きな画面で画角を確認することも可能で、さらに、PCに直接保存することが可能である、しかも録画スタート・ストップ時もカメラを触らなくてよいという点で、断然、こちらの方が良いと思います。この期に及んで、さらに不満を言えば、PC1台でカメラ1台しか操作することが出来ないこと。出来れば,4台くらいを1台のPCで操作・データ保存することが出来ればと思います。

該当する機能を付加するためのページです。
http://dc.casio.jp/products/ex_f1/enhance.html