父親として・研究者として

息子の保育園の運動会であった.父として息子の雄姿をカメラに収めるという目的に加えて,研究者として子ども達の走りを観察するという目的で園庭に居た.保育園の運動会というのは,研究の観察対象としてはかなりいいものである.何故なら保育園にはゼロ歳児から6歳児までが揃い,ひとつの運動会で走るからである.これについては幼稚園ではダメであり,あくまでも保育園なのである.ゼロ歳児は勿論走ることは出来ないのでハイハイ競走である.そしてそれ以外の年齢のクラスは走る.各年齢の子ども達が走る姿は,まさにバイオメカニクスのテキストに記載されている通りである.さらに,卒園生や父兄,そして職員,さらにはたまに交流のある老人会の方々の出場する競技まで含めると,ヒトの走りについて,生涯を通して横断的に示しているデータを見ているようだった.
ここまでは研究者としてのコメントであるが,父としてわが子の出場する駆けっこを見ているときには心中定かではない.昨年はスタートにかなり出遅れていたわが子であるが,今年は,自分の順番ということに気付いていなかったというコメントの通り,昨年同様に出遅れていた.しかし,スタート後には,さすがわが子と思うような良い走りと思ったのは親バカのせいである.後に冷静にビデオを見直すと,腕振りの際に肘の角度が開いたままであるとか,膝が開くのが早いとか,気になる点が多々ある.よくよく見直して分析してみると,私の現役時代の走りに似ていなくても無い.これって遺伝するのだろうか.

「コーナーで差がつく」なんていう子供用靴のCMがあったっけ.前を走っているのが我が子.実は出遅れたために,このずーと前の方に一番になった子が走っている.黄色い衣装は,今年の運動会のテーマが「祭り」だったために着させられたビニル製のハッピ.