昨年還暦になった父があと2週間で定年退職するため,子ども達夫婦(つまり私の兄弟夫婦)一家でささやかな身内だけのお祝いの食事会を開催した.久々に会った父は,前回見たときよりもさらに年をとって見えた.今の勤務先に42年間も勤めたそうである.

新聞を見れば所得の格差と教育の格差に関する記事が毎日のように掲載されたいる.所得の格差も大変気になるところであるが,今の時分,国立大学でさえ初年度の納入金が80万円にもなるそうだ.私の時代には経済的に苦しい家庭の子どもは国立大学に行ったものだが,いまや,それすら困難な時代になりつつあるということだ.私の実家は幸いにも兄妹3人が大学を卒業させてもらった.さらに私は大学院まで行かせてもらった.とはいえ,父は一般的な国家公務員だったため,その所得といえば,決して多いとは言えなかったはずである.しかし,それでも私が大学院まで行くことが出来たのは,私の出身が国立大学だったため(私の大学時代,半期の授業料は20万円を切っていた.)ということと両親の努力に他ならないだろう.今の時代だったら,私や私の兄妹は大学を卒業することなど出来なかったかもしれない.学生諸君には,支払っている金額以上の価値を身につけて卒業してもらいたいものだ.