実は今年,人類動態学会というのにエントリーしおり,その発表のために長野県の小淵沢にある神奈川大学セミナーハウスに行ってきた.この学会,会員数などの規模は小さいのだが,そのメリットであろうか,2日間,このセミナーハウスを貸切り,参加者はここにに缶詰になり,一般発表演題を聞いたり,セッションでディスカッションしたりと完全に勉強するしかない状況だった.日常は雑務に追われ,休日は家族サービスと決めている私も珍しく研究だけをするというスケジュールだった.
この学会,人間工学関係の学会らしく,工学や経営工学の先生たちが多く発表していたのだが,私のような体育スポーツ関係の人も数名いた.私は順大の水野先生の口車に乗って(いや,冗談ですよ,水野先生!)発表することになってしまったのだ.しかし,どうせ発表するなら学会賞を狙う気持ちで行きましょうなどと,この学会がどのような学会かも知らずに出陣してしまったわけだ.
私の発表は2日目だったために,いったいこの学会がどのような学会なのかを知るために,一日目から真面目に他の発表を聞いていたら,どうやら人の作業や働きについて研究しているらしく,発表される手法は私たちのような実験系からアンケート調査まで様々だった.そんな中,私は春休みに研究室の学生と行った,バスの乗客の乗車姿勢ど動作解析に関する研究を発表したのだが,手法が多分野であったからか,なかなかの好評を頂いた気がした.それから,他の発表を聞いて感じたのだが,スポーツ科学でいう学会発表ってのは目的・方法・結果・考察・まとめ,っていう風にやっていくのが普通なのだが,工学系の学会ってのはこういうのがなくて,発表中,終始にわたり雑談風に話して終わる人が結構いたりするのに,そういう人がいい評価を受けたりするのだ.お国が変われば状況が違うということなのだろうか.
さて,私の演題だが,学会賞をとることは出来なかったのだが,学会賞の表彰の際にあと一歩ということだったということで名前を挙げて頂くことができ,研究の手法も良かったといわれた.まぁ,賞を取れなかったことには変わらないのだが,なんか次へのモチベーションにもなったかなぁという感じだ.それから,学会賞には共同研究として私の名前も入っていた順大大学院の山田君が選ばれた.大学院生の発表に負けてしまったわけであるが,一緒に研究を進めてきたので山田君のことは喜んであげたいと思う.
ところで実は私は学会発表が嫌いで,最近はシンポジストとかでなくては発表することはなかった.今回の発表は一般演題としては03年3月以来なのでなんともまぁ長い間発表していなかったものだ.それだけ研究していなかったということだろうか.発表が嫌いだった理由は,発表してもあまり参考になるコメントが貰えなかったり,研究内容の揚げ足を取るような質問が多かったりということだったのだが,今回の発表では非常に前向きで参考になる質問や意見を頂けた.それって結局は聴衆に興味を持たせることができたかどうかということであり,そういう意味では,畑違いの私の発表は今回の参加者には物珍しく感じたのかもしれない.今年はもう一演題を発表する予定であり,今度は専門分野の発表である.聴衆の興味や関心をそそるような発表を心がけたいものだ.