ゼミナール選びは,学問分野を選ぶのではなく教員の人間性と教員が実際に取り組んでいる内容で選ぶべきだと思う.
2年生の学生を対象としたゼミナールの説明会を開催した.私のゼミは他のゼミナールと比べると実験や報告のための集合(ミーティング)が多い為,大学に学びに来ているという意識が無い,我が大学の学生には評判が悪いのだが,驚くことに20名近くの学生が説明会に参加していた.もちろん,私の担当科目が3年生からなので,2年生の彼らは,ここは何をするところなのかも分からないので来たのであろうが,それでも正直ちょっと驚いた.
説明会では,現役のゼミ学生による活動の説明などのあと,私自身の口からゼミナールの方針などについての説明をし,その後,質疑に応答するという形で進めた.しかし正直いってかなりの不満があった.何故なら,ほとんど質問が為されなかったためである.自分がこの先2年間を送るかもしれないゼミナールの説明会で,なぜ,アレほどまでに黙っているのだろうか?私だったら疑問に思っていることや確認したいことをぶつけて答えてもらうのだが.そしてさらに不満なのは,その後のフリータイムではそれぞれの学生が上級生に対して質問をぶつけているではないか.何かがずれている.
こういった説明会などに来て,自分は研究者を目指しているとか,●●(競技名)の〜の動作分析をしたいとか言って訪ねてくる学生がたまにいる.一見,優秀な学生のような気がしなくも無いが,私の経験上,こういった学生が,その後,優秀であったり長続きするためしがない.そもそも,2年生の段階では研究なんてやったことがないだろうし,何が研究なのかも知らない(私も知らなかった)わけで,そんなやったことも無い世界に入りたいという奴はたいていがミーハー(などという言葉は死語か?)なだけであったりするわけだ.そして特定競技の特定動作をやりたいなどと言ってくる奴は,それ以外のことには積極的ではなかったり,動作分析にまつわる細かくて地道な作業は想像もしていなかったりして,そんな作業に幻滅するわけだ.つまり,テレビなどのマスコミでスティックピクチャーなんかを見て,それだけでこれを自分の競技やコーチングに生かしたいなどと思い込みやってくるわけだ.だから,大学に勤め始めて8年も経つと,とりあえずは頑張って見て,何だかもう少し続けたくなったりするやつの方が長続きしたり,いい結果をだして卒業していくということを実感したりするわけである.さて,土曜日のエントリーに何人が応募してくるだろうか.
冒頭にも書いたのだが,私に限ったことではなく,「バイオメカニクス」なんて看板を掲げていても,そこの教員が実際にやっているのはその分野の極隅っこの一部なわけで,そんなことよりも,2年間付き合わなくてはならない教員の人間性や最近興味をもって実際に取り組んでいる研究の内容を重視した方がよっぽど役にたつ,と私は個人的にはおもうのである.なにせ,2年間は原則として変更することができないのだから,これは恋愛相手を選ぶよりも重大な話であろう.