私は佐倉市民なのだが,佐倉市に月1回配布される「こうほう佐倉」には,年に1〜2回,順大の教員がカラー顔写真入りで登場して研究の話を紹介している.昨年くらいには形本先生が登場して,運動としての自転車のすばらしさを紹介していた気がする.6月に入り,朝刊とともに配布された今月号にはダンスの中村先生がメタボリックシンドロームの話で登場していた.「へ〜,キョーコさん,こんなことやってるんだ.... そういえば,数日前にエレベーターホール前であったときに,メタボリックを指摘されたっけ.」で,内容を読んでみると,メタボリック対策には食事制限よりも運動が良いということが紹介されており,よくあるパターンの流れであった.ところが終盤にさしかかると以下のような事が語られており,思わず反論したくなった.
「仕事などで,定期的に運動する時間が取れないかたは,スポーツジムに通うことも良いかと思います.自ら“運動しなければ”という環境に身を置くことも大切なんです.持論なんですが運動を習慣にするためには,自分の好きなことをするのが一番.「やせなければいけない」という理由だけでは,ある程度目標を達成したら運動をやめてしまい,またふとってしまう方が多いんです.....」
キョーコさんの行っていることは判るのだが,そもそも運動する時間が取れない人がジムに通う時間なんか無いのではなかろうか?我々大学教員は,一般の社会人に比べれば時間の自由が利くのでジムに通うことも可能かもしれないし,我々のように身近に運動する環境があるものにとっては運動することが時間的にも空間的にも身近なことに感じられるのかもしれないが,多くの人の場合は深夜まで残業していたり,子育てに追われていたりして,自分の自由の利く纏まった時間を取れないというのが運動不足の原因なのではなかろうか.殆どの人は太りたいなんて思ってはおらず,何とかしなくてはいけないと思っているのである.そして運動することでそれを改善することが出来ることは重々承知しているのである.でも時間が無かったり,お金が無かったり,そしてそれにより勤務時間が長くなったりして,なかなか運動することが出来ないのである.なぜなら,駅前には必ずといってよいほど飲食店や居酒屋があり,深夜まで営業をしているが,格安で深夜でも利用できるスポーツ施設というのは都会にしかないからである.そしてヒトは飲食をせねばカラダは動かないのだが,運動不足でもとりあえず生活することが可能だからである.
だったら,我々の使命としては極僅かな時間に場所を選ばずに出来る効果的な運動プログラムを開発するとか,その効果を検証するといったことであり,キョーコさんのコメントは,私には,マリーアントワネットの「市民がパンを食べられなければケーキを食べれば良い」とうコメントと同等にしか聞こえないのであった.