北京オリンピックを見ていて

そもそも,立場上から影響を考慮してオリンピック期間中は競技そのものに対するコメントは控えることにしていたのだが,ちょっと我慢ならないことがあるので書くことにした.
皆さんもご存知の通り,陸上競技に関してはいまいち成績が芳しくないのだが,そんな成績のことよりも,私が気になるのはキャスターが選手にコメントを求める際の質問内容だ.たとえば,為末選手がゴールした直後に「予選落ちですが,これで終わりですか?」と北京五輪を最後に引退することの是非を尋ねるキャスター,彼はデリカシーがないのは明白だが,それに加えて,おそらく為末選手がオリンピックを目指すという意味や気持ちは全く理解しておらず,またこの日の為にどれだけの気持ちで様々な欲求を我慢してきたかも理解することが出来ないのだろう.
さらに,レースを途中棄権した土佐選手に対して,途中棄権という結果で帰国した感想を,空港で求めたキャスター,まるで土佐選手に国民に対して謝罪することを求めているようである.私だけでなく,多くの視聴者が求めていたのは,おそらく,そんな質問ではなかったのではないだろうか.
全てのスポーツキャスターがそうであるとは言わないが,各局のキャスターにはスポーツのことを理解していない方が多いのは明らかである.4年に一度のスポーツの祭典の時だけでも,いやだからこそ,スポーツを理解して適切な質問を発することができるキャスターを採用して頂きたいし,育ててもらいたいものである.
また,各局の番組はどうもメダルのことばかり気にして報道しすぎている気がする.たとえば,冨田選手が4位になった個人総合では,その日のテレビでは銀メダルの内村選手のことばかりであり,冨田選手の話題は歩トンで出てこなかった.もちろん銀メダルはすばらしいのだけれど,マスコミは世界で4位になるということをもう少し賞賛すべきだえはないだろうか?

さぁ,まだまだ種目は続きます.残り,期待したいものです.
ところで某競技の科学的サポートで北京に行っていた同業者の先生からお土産を貰いました.