スポーツ科学に関わる者として

昨日から国立スポーツ科学センター(JISS)を訪れている.今年度から某競技団体の北京オリンピックへ向けての取り組みを,トレーニング科学という方面からサポートすることになったためである.昨日は新チーム発足にあたっての記者発表などがJISSで行われた.勿論,記者発表などに正式に出席するのは私ではなくて私の上司である.っが,実際に取り組むスタッフとして選手やスタッフそして一部の記者にも私を含めたメンバーが紹介され,その後,コーチングスタッフと意見交換をする時間が持てた.
意見交換の結果感じたことは,この競技団体のコーチングスタッフは,スポーツ科学・トレーニング科学の必要性を感じていること,そして理解しようという向上心を多いに持っているということだ.そして,我々の取り組みに対しても,最大限の理解を示している様子だった.私はこれまでにも多数のスポーツ指導者や支援スタッフと交流する機会があったが,今回の指導スタッフはこれまでで最も理解ある気がした.私的には,北京に向けてかなり期待ができる気がした.
スポーツ指導現場とスポーツ科学研究現場とのギャップやすれ違いに関する問題は様々なところで議論されるところである.この問題を解決するためには,研究現場としては研究成果を追求しすぎず,ある程度のサービス精神を持った上で取り組む必要があり,一方で指導現場ではスポーツ科学・トレーニング科学が万能ではなく,成功への示唆として捉えることが必要であるだろう.現時点では,今回の競技団体に関してはなかなかいい関係なのではないだろうか.
それから,今回はJISSにて久々に平野先生にお会いしてお話する機会があった.平野先生はこの3月までは東京大学教育学部にて助教授として教鞭をとられていた方であるが,研究者としては競技スポーツのトレーニング科学の専門家としても知られている方だ.私の恩師の福永教授とも交流があったことから,私が東大駒場の大学院生として学んでいる時代から,様々な場面で研究に関するアドバイスを頂いたことがある.平野先生は3月で東京大学を退職され,4月からはJISSの研究員として勤務されている.平野先生がJISSにいらっしゃったことは,我々のように競技団体をサポートする者にとっては心強いことだ.
スポーツ科学」には,科学としての学問の確立や真理の追究という目的に加えて,競技力向上に寄与するという目的ももつ.どちらかに偏るのではなく,両方の目的を達成したいものだ.難しいことは分かっているのだが.......