入学式にて思う

満開の桜の下(と言っても体育館内で),入学式が行われました.新入生諸君はそれぞれが希望を抱いて入学してくたことでしょう.私も遥か13年前に大学に入学したときには,将来への夢と希望を抱き,その夢と希望への第一歩であることを実感して入学式に参加しました.新入生諸君には,今抱いている気持ちを何時までも忘れずに,勉学にそしてスポーツに切磋琢磨して貰いたいと思います.
私はスポーツ科学系(昔であれば体育系)大学に勤務して以来,多数の卒業生がスポーツとは無縁の業界へと就職していくのを見て,正直言って憂鬱な思いを抱き続けております.この手の大学に入学してくる学生の殆どが,スポーツが好きでそれを取り巻く学問を学び,関連した業界に就職することを希望して入学してくるはずです.それにも関わらず,卒業時点では全く関係の無い業界に就職していく学生が多数いるというのが現実である.現在の経済状況と少子化による難関の教職試験の影響によりスポーツ関連業界や教職そして研究職への就職が困難であることは間違いない.しかしながら,それでも希望して努力すれば可能性は無きにしも非ずというなかで,大半が無関係な業種を選択するということは,我々教職員が学生に対してスポーツを科学することやスポーツする楽しさを伝えることへの楽しさや素晴らしさを伝え切れなかったということではないだろうか.
前任校でも先輩の先生にこの事を憂いたことがある.しかしながら,その先生は,現在の大学は専門教育機関としての役割よりも大卒としての教養を身につけるための機関になりつつある,従って学部生に対しては専門知識を身につけさせるよりも社会に通用するための教養を身につけさせることが重要である,と言っていた.言っている内容は間違っていないが,それでもスポーツ好きの若者がスポーツとは無縁になってしまうというのは耐え難いものである.しかしながら,私の言っていることは単にピーターパン症候群の症状(大人になっても子供時代の夢を忘れられない症状)なのであろうか.
それでも私は,スポーツを科学的に見ることと科学的にスポーツすることの素晴らしさと楽しさを学生に教え続けたいと思う.何故なら私はスポーツとスポーツ科学が大好きだからである.週刊誌やワイドショーにも登場していたが,今年度,有名芸能人夫妻のお子さんが我が大学に入学してきた.(週刊誌によると)元々は大学付属の進学校を卒業したため,そのまま系列大学に進学することができたにも関わらず,専門としていたライフセービングを専門的に学びたいと考えて我が大学を選んだらしい.私とは学科が異なるために,おそらく直接に担当することはないと思うが,彼にも是非,スポーツを科学することと科学的にスポーツすることの楽しさを実感して欲しいものである.