大型連休に考える

日本では5月の連休のことを「ゴールデンウィーク」と呼んでいるが,最近の報道では「5月の大型連休」と呼んでいる.やはり,国際的には「黄金週間」は理解されないからだろうか.そんな大型連休も残すところあと1日となった.
今回の連休では,多くの仕事を抱えていたにも関わらず,敢えて仕事を忘れて休むことにした.その結果,家の中を片付けたり,庭の手入れをしたり,そして息子や近所の子どもたちと遊んだりして過ごした.連休明けの仕事は恐ろしいが,こんな気分でゆっくりと過ごすのは,大人になって初めてかもしれない.
ゆっくりと過ごしながら,色々と考える時間も持てた.そんな中に考えたことの1つに,運動(エクササイズ)と体力に関する認識がある.私は仕事で市民に対して運動(エクササイズ)や体力の話をする機会が多いのだが,その際にしばしば「家庭で出来る運動」や「ちょっとした時間に出来る運動」などという話をする.私のこれまでの認識(よくする話)は,わざわざスポーツクラブに行ったりして環境を整えなくても,ちょっとした明き時間,ちょっとした運動で体力を維持することができるということだ.しかし,今回の休暇中に考えたことは,体力づくりのための運動なんてのは,家の掃除や庭の手入れ,子どもとの遊びを通して十分に行うことができるということである.たとえば庭の草を抜いていれば,十分に上腕二頭筋の筋トレになる.子どもの自転車について歩き回れば,結構なウォーキングエクササイズだ.スポーツクラブに行けば身体を鍛えることができるものの,その時間,家事や仕事,そして子守は出来ないが,それらを通して運動すれば身体も鍛えられて仕事も進むわけである.
先日,子どもを取り巻く環境と体力に関する文章を書いたが,実は我々大人を取り巻く環境も昔とは異なり,便利という名のもとにヒトは身体を動かす機会を奪われ,もしくは放棄してしまったわけである.そして本来は我々の周りにいくらでもある運動する環境も,健康増進という産業が発展したために,わざわざ代金を支払って受けるサービスになってしまったわけである.
とはいえ,日本国民が皆 肉体労働者になり健康になってしまうと,私のような職業も売り上げ上がったりなわけで,そうなると,私も庭の草抜きや子どもとの遊びに興じる時間もとれなくなるわけである.そういう意味では,市民が「健康」や「体力」を欲しくても手に入れることができないものと思っている状態が一番なのかもしれないなぁ....


▲写真は「息子と走る私」