インターハイ

久々の更新.1日から6日まで地元千葉で開催されているインターハイに行っていた.私は今年から日本陸連の科学委員になっているため,陸上競技場にてスタッフとして働いていた.仕事の内容は高校生選手の競技をカメラで撮影して,競技直後にその映像から連続写真を作成して,競技結果用の掲示板の隣にある陸連科学委員会の掲示板に貼るというものだった.朝から夜までぶっ通しで行ったため結構ハードでしたが,私の作った連続写真や他の委員の先生方が作ったデータを見た高校生やコーチングスタッフ(多くの場合,高校の先生方)がデータを見て驚いたり,喜んでくれるのを見ると,遣り甲斐と喜びを感じるもだった.
また,こういう活動は,私の研究室が単独で行うのではなく,日本中のスポーツ科学や体育系の大学の研究室や研究機関から,普段陸上競技バイオメカニクスを専門としている研究者や学生が集って行うため,情報交換という意味でも私自身だけでなく私の研究室の学生諸君にとっても有意義なものであっただろうと思う.特に学生にとっては外部との交流なくしては,自分が所属する大学が全ての大学と同じだと思ってしまうため,他大学の遣り方を見たり,様子を聞いたりすることが重要だと思うし,そうすることにより様々な意味で学生自身の(勿論私にとっても)可能性を広げることになるのだろうと思う.私自身も大学時代に他大学の研究室を見て他大学の大学院に進学したし,大学院生の時には他大学と合同の実験や測定に参加して,それにより可能性を広げることができたのだと思う.早稲田大学に就職したときに,全く初めての大学ではなく,ある程度の勝手は知っていて,先生や大学院生にあるていどの知り合いがいたのもそのお陰だったのだろう.
ところで話はもどるが,今回私たちが参加したような日本陸連科学委員会の活動(つまり,インターハイでのデータフィードバック)は今年初めての試みではなく,ことしで十数回を数えるものなのだそうだ.私が高校を卒業して約15年になるがそれ以来,私はインターハイに行ったことが無かったので,このような活動がここ数年は行われているのは知っていたが,十数年も行っているというのは同業でありながら知らなかった.私は今回の活動に参加しながら,インターハイにおいてこのような活動をすることの意義を考えてみた.
記録とともにデータが即時フィードバックされることにより,もちろん選手自身や周囲の人たちへのサービスとなるだろう.しかしながら,データをフィードバックすることにより,単なるサービスに留まらず,陸上競技に関わる人々に対して動作やレースパターン(スピード)のデータをより身近なものとして捉えるようになり,それにより日々の練習やトレーニングをより科学的に考えて貰えるようになるだろう.そしてそのような選手やコーチの意識改革こそが,日本の陸上競技の記録向上につながるのだろうと思う.そして,高校生に対して行うことこそが,スポーツ科学という学問を社会に認知して貰い,スポーツ科学という学問の価値やスポーツ科学そのものの価値を高めるのだろうと思う.そして,私たちの活動を通して,将来スポーツ科学分野に進学したいと感じる高校生がいれば,将来のスポーツ科学という学問分野の発展に繋がるのだろうと思う.


▲写真は撮影に使用したカメラ