高校の体育科・スポーツ科学科(コース)の現在

最近,高校レベルで標記のような学科やコースがあるのを目にする.これらの高校では,部活動の発展や卒業後の専門課程への準備,そして卒業後の地域スポーツや社会体育への貢献など,学校により意図は様々なようであるが,研究室の卒業生の中にはこれらの高校へ赴任している先輩方もおり,会ではその近況も報告された.その中で,これらのコースが多く新設されているにも関わらず,スポーツ医科学的な知識を持っていたり,その手の話を出来る教師が居ないという現状も報告された.その話を聞いたときに,私はスポーツ医科学コースの大学教員として少々複雑な思いであった.というのも,教員採用試験では,これらの専門知識は比較的軽視されているようであるし,私学を含めて採用される際には学生の競技力が重視される傾向にある.大学では,競技力の高い学生はコーチングを専攻するし,スポーツ医科学を専攻する学生は,高い専門性を求められるため,勉強や実習に時間を割かれる一方で,教員採用試験には配慮されず,教員採用試験に限れば不利になるため,スポーツ医科学に興味があっても教員志望であればコーチングを専攻する学生もいるという現状がある.その一方で,指導現場や学校現場ではスポーツ医科学的知識を持つ指導者不在を訴えられると,それは採用システムの不備であるとしか言い様がないのではないだろうか....