先生とは

学生に将来なりたい職業は何かを尋ねると「先生」と答えることがある.しかし,先生というのは二人称もしくは三人称であったり,目上の者に対する敬称であったりするはずであるし,学生達が意図する「先生」とは恐らく「教員」のことだと思う.一般的に「先生」と呼ばれる職業には教員,美容師,医師,弁護士,そして政治家なんかがある.そうそう,最近話題の建築士も先生と呼ばれるっけ.
ということで,私も職場である大学では先生と呼ばれることもあるのだが,学生が私を呼ぶときは「先生」ではなくて「センセー」と聞こえるわけで,それは敬称には聞こえ難い.まぁ,別に敬称として呼ばれたいという願望があるわけじゃないのでどうでもいいのだが.
ところで,そんな私は仕事上,大学を始め小中学校や高校の先生方と接する機会が非常に多いのだが,そんな中,以前から大変気になっていることがある.それは,二人称や三人称であるはずの「先生」を,一人称である自分を指して使う教員である.たしかに小学校の低学年の場合には教員が「先生はね〜」とか「先生に見せなさい」なんてことを言うことはあるかもしれない.しかし,高校や大学の教員が,もう大人とも言うべき生徒や学生に対して自分を指して「先生」というのは,傍で聞いているとまるでタレントの吉川ひなのが自分のことを「ひなのはね〜」と行っているのと同等に聞こえてしまうわけである.
ということで,教師を目指す学生諸君には,是非これからは卒業後の希望の職業は「教師」もしくは「教員」と答え,そして採用された暁には生徒と話をしていて自分のことを指すときには「先生」ではなくて「私」と答えてもらいたいと(個人的には)思うわけである.