電話

大学の研究室には電話が引いてあるのが通常である.私の研究室にもありがたいことに電話が引いてあるのだが,その電話に実は最近,大変迷惑している.研究中であろうとゼミナールなどの授業中であろうと電話が頻繁になるのである.今日などは,学生の卒論発表会のスライドを見ているほんの1時間半の間に,研究室の電話が4回,携帯電話が2回もかかって来た.携帯電話の場合には先方の名前が表示されるので,急を要する相手で無い場合には,その場では出ずに後でかけなおすことが可能なのだが,研究室の電話の場合には出て見ないことには誰からのどのような用件なのかが不明であるので大変である.そして電話を受けて見ると,多くの場合には大した用件ではないのである.そもそも,私にとって本当に重要な用事の場合には,事前に私からかけているわけで,かかって来る電話の場合,用事があるのは相手の方なのである.大体,我が大学の場合には,研究室の電話はダイヤルインでは無く,まず交換が受けるのだから,そこで相手を確認して,相手が業者である場合で私が授業中である場合には,後でかけなおしてもらうようにするくらいの配慮をしてほしいものである.
ところで,数ヶ月前の朝,手の離せない仕事をしている最中に携帯電話に着信があり,発信者の表示を見ると大学の偉い先生からであった.手が離せないのでそのときは放置し,5分後にこちらからかけ直すと,「携帯電話は何時でも出られるように携帯しているわけで,出られない電話は固定電話である.......」というお説教をされた.携帯電話という便利なツールを持つようになってしまってからというもの,私達は何時でも何処でも,実は拘束されて,便利ではない状態に陥ってしまっているのではないのかと思う.携帯電話やメールから開放されたホリエモンは現在,そこのところどんな気持ちでいるだろうか. 
たまに,研究室の電話にかかって来た電話の相手から,今何処に居るかを尋ねられることがある.これもまた,携帯電話を頻繁に使うようになってしまったことによるものだろう.固定電話というくらいだから,研究室にいるわけだから.