帰宅途中にクルマで印旛沼を通ると幻想的な風景に出会った.テレビの天気予報では台風一過により大気中の塵が一層された為であろうということが伝えられていた.漸く梅雨が明けたと思ったら猛暑となり,その後は台風である.最近の天気はまるでお天気のフルコースだ.

ここ数日,更新を怠っていたので数日分をまとめて記載することとしよう.
私の周りの人たちは知っていたのだが,実は今月2日から6日までの間,陸連の科学委員として活動するために高校総体が行われている大阪に滞在していた.大阪は関東に比べて湿度が高くて暑く感じた.今回の高校総体で私が最も印象的だったのは浜松西高の中村宝子選手が優勝した女子200m.私は50m地点のカーブの頂点からレースを観戦していたのだが,私の居た場所からは,スタート直後から中村選手がハイペースでレースを展開していたのがわかった.このレースは出場者のレベルが高く,まるで日本選手権級のレースであったし,優勝候補として前日の100mで優勝した高橋萌木子選手の名前があがっていた.高橋選手の4レーンに対して7レーンでスタートした中村選手は,高橋選手の姿が見えない位置からのスタートとなったのが幸いして,前半から意識してハイペースで行くことができた.一方,後半を得意とする高橋選手の前半は中村選手とは対照的に前半はかなりのスローペースであった.それが影響したのか,後半で高橋選手が中村選手を追いかけたものの及ばなかった.結果は日本高校新記録で中村選手の優勝,2着の高橋選手も新記録であった.このような好記録でのレースをナマで見たときには,記録を見る前から鳥肌がたつような感覚を覚えるものである.このような感覚は,陸上競技に限らず,スポーツをナマで観戦するということの醍醐味のひとつであるのかもしれない.ところで,中村選手って前記録保持者の柿沼選手と顔が似ていると思っているのは私だけだろうか.
話は変わるが,最近の大きな陸上競技会では音響効果が派手に成ってきた.選手紹介するときやレースのラストスパートの時などに音楽が流れたりする.きっと世界陸上大阪大会を意識したものなのだろうと思うのだが,それ以外にも競技場内のオーロラビジョンを駆使していることに気付く.選手紹介は勿論のこと,レースのプレーバックなどにこの装置は大きな威力を発揮するし,競技場の様々な場所で同時に競技が行われる陸上競技の場合には,この装置は非常にありがたい.また,競技の合間などには観客の模様や表情を勝手に映し,それに気付いた観客はカメラに向けて手を振ったり,カメラを探したりするのであるが,この模様を見ていて,私は約20年前に筑波で開催された科学万博を思い出した.科学万博ではソニーのパビリオンがまさにこのような大型のディスプレイであり,ディスプレイ前の広場に集まった観客を大画面に映し出す,観客はカメラに向けて手を振る,当時はそれだけでも珍しくてパビリオンに成り得たわけである.あれから約20年,科学万博で盛り上がった技術は,このようなスポーツイベントで多いに利用されているわけだ.こんなことを呟くと,本当に歳を感じてしまうがね.

インターハイの期間中,私は陸連科学委員会の委員として,他大学の先生方や大学院生とともに高校生選手のレースの分析とそのプレゼンを行っていたのだが,このように他大学の人たちと仕事をすると,様々な点で勉強になる.そして感じるのは,研究とかこの手の作業の能力ってのは,大学の偏差値を必ずしも反映しないということだ.勿論,偏差値の高い大学で優秀な人もいるのだが,必ずしも全員がそうとは思えない一方で,偏差値が低い大学でも優秀な人は多くいる.さらに人間性は偏差値とは無関係であるということも感じるのである.要はどれだけ熱い思いを抱いて真剣に長く取り組むことができるかが重要であるということだろう.