バイオメカニクス学会が終了した.周囲の方々のご配慮もあり,無事に(?)発表することができた.ただ,今回の学会で最も学んだことは,手続きは事前にきちんとやらなくてはならないということ.つまり,私の演題は,共同研究者で学生時代の指導教官1名を除いて5名が当日まで大会参加費を支払っていなかったため,発表内容自体はそれなりの評価を受けても,全体としての評価は落ちるということを,今回の学会で身をもって痛感したわけである.因みに,この学会が終わって,私も「若手」としての評価を受けることは出来なくなった.つまり,例えそれなりの内容の発表をしたとしても,「あたりまえ」という評価を受けるし,至らぬ内容の発表をすれば「ダメ」という評価をうけるということである.私の学生時代には,ある先生から「学生時代の恥はかき捨て」とか,「恥をかいて大きくなる」なんてことを言われたものであるが,これからは(いや,もう既に)そんなことは言ってられない立場なのだろう.学会の教育講演やシンポジウムでは,私よりやや上の世代の先生方の発表や質問を多く目にした.あと十数年後には,私もあの世代である.その時に,あのような発表をして若手を喚起することが出来るように,日々努力を積み重ねていきたいと実感したわけである.

学会会場での出来事.私の研究発表に関心を示してくれていた若者達と質疑応答を終えた時に,彼らの名札を見ると私の母校の大学院であった.「駒場ですか?」とこちらが尋ねると,彼らは「はい.」.私は「私も駒場の卒業生なんですよ.(質疑応答で出てきた)N君とは同級生なんですよ.」と言うと「知ってます.伝説とか聞いています.」.とナメタ応答.別に先輩ぶるつもりはないが,そもそも私は彼らとは初対面である.他で何を聞いたかは知らないが,初対面のものに向ってあの対応は無いだろう.単にそんな対応をされる私が舐められたわけであるが,正直言ってかなり頭にきた.昔,私の指導教官が言っていたものだ「学会」ってのは就職活動の場だと.発表したり質問したりして,お互いの存在や能力を知る場だということだと思う.考えてみれば,私が大学院生時代に就職が決まったのも学会がきっかけだった気がする.そんな意味もある場であのような対応をされた私は,彼らみたいな人とは一緒に研究をしようとは思わないわけである.まっ,彼らも初対面でバカにするような私とはともに研究したいとは思わないだろうが.少なくとも,私は初対面で実際に接したことも無い人に対してあのようなことは言わないと思うよ.