私のような仕事をしていると,大学生や高校生と将来の夢についての話をする機会が多々ある.そして私が勤務しているような大学だと,将来は体育教師になりたいという夢を語る子に良く出会う.しかし,彼らの話を聞いていると,実は彼らが成りたいのはクラブのコーチや顧問教諭であるということに気付く.陸上競技部やサッカー部の先生になりたいのであれば,体育教諭でなくても社会科教諭でもなれるわけだし,もっと言えば,教諭でなくてもスポーツのコーチをすることは可能だし,そういう人も実際にいる.体育教師になりたい!と夢を語る若者には,是非,体育の教科教育を通して,身体を動かすことの喜びを伝えたいとか(例えばだよ),様々な運動種目にチャレンジしたり,目標を達成することで人間性を高めるような教育をしたいとか(これも例えば),そういう言葉を聞きたいと,個人的には思ったりする.また,体育系大学では柔道の授業は選択科目になっているため,柔道に関連した科目を敬遠する学生も居るようであるが,コーチになりたくて体育教師になりたいと思う子には,柔道関連科目にチャレンジして,黒帯を獲得して欲しいものである.なぜなら,体育教師になると,柔道か剣道の授業を担当する機会もあるわけで,そんな時に先生が白帯を巻いて授業をするってもの格好悪いわけであるから.
 在学生や受験生の将来の夢にはアスレチックトレーナーがよくあげられる.アスレチックトレーナーになりたい人は,在学中に自分がアスリートとして向上することを目指すよりも,サポートする側として少しでも早く,そして多く経験を積むことが重要なのではないか?というのが私の個人的な意見である.学生や受験生は,在学中は選手として活躍して,卒業して引退したらトレーナーとしてサポートしたいなんていうのだが,トレーナーとしての知識や技術を学ぶ時間や機会は学生の間しかないんだから.卒業後,大学院にでも進まない限りは,そんな時間はないでしょう.四年間アスリートとして全力投球してトレーナーになるという人は,やはり,トレーナーとして活動できるようになるまでには時間がかかっている気がするし.今日,たまたま,これについて,柔道の菅波先生から,私はどう思うかを聞かれましたが,そこらへん,最近トレーナーとして活躍している中村千秋先生(早大)や眞鍋先生(国際武道大,私は個人的な面識はありませんが.)はどう考えているのでしょうか?知りたいものです.
 私の勤務している大学の魅力は何か?という問いに対して,医学部との連携!とか全寮制!とかいう意見を聞くのだが,それって,私的にはありきたりでつまらないんじゃないか?と思ったりする(あくまでも個人的な意見だが.).大学の魅力って,施設(ウチは他大学よりも優れたほどでもないと思うし)や医学部との連携だとか全寮制なんてものよりも,「その大学でしか教えを請うことが出来ない○○先生の「〜論」の授業を聞きたい!」とか,「○○先生と〜のような実験をしたい!」その結果,「将来は●●のような能力を身につけて,△△のような仕事や場所で活躍したい!」というものなのではないのか?と私的には思う.ま,その為には,我々教員側の努力と活躍が必須となるわけであるが.私が早大に勤務していた時に,「早大人間科学部に入学して,エジプトで有名な吉村先生の授業を履修して,ゼミに入って,将来は先生と一緒にピラミッドの調査をしたい!ので人間科学部に入りました.」と語る新入生にであったことがある.私もそんな風に言われて見たいと思うし,そういわれるような教員になりたいものである.そしてそんな事を言う学生には是非,入学してもらいたいと思ったりするのであるが,ウチの大学の魅力ってのはやはり学部間連携や全寮制なのでしょうか.それであれば,他大学でもあると思うし,全寮制ったって1年生時だけだから,彼らの魅力は4年間ではなくて1年間で終わってしまうのではないだろうか.
ということで,私はゼミを選択する学生や受験生に,ビデオ映像を使った動作分析を通して,選手へのデータフィードバック活動をしたり,100m10秒台や9秒台で疾走するための条件を求めるような活動を,ぜひ私とやっていきたい学生,私とバイオメカニクス研究者を目指す学生や院生を募集しております.