この2日間,久々に上尾競技場を訪れて陸上競技の関東インカレを観戦した.久々に会った大学の後輩である石田智子選手(長谷川体育)からは「研究データを取りに来たのですか?」と言われたのだが,それは否定しないが,それ以上に競技を観戦しにきた感が強かった.順大生の活躍を,そして我がゼミ生達の活躍を見るのを楽しみにしてきたわけである.
競技場内では私や大学院生が競技をカメラで撮影していたのだが,関東インカレくらいのビックゲームになると,様々な制約が多い為に実はそこで撮影した映像はレーンにマーキングしたりスタンド下に下りて撮影することができず,,通常のように走りを定量するといったバイメカの解析はできない.それでも手間と時間とお金をかけて,我々が撮影するのには実は訳がある.我々がカメラで撮影するとなると,どうしても速度を出してとかデジタイズして...と思いがちであるが,分析とは何もそのようなことばかりではなく,それ以外にも走りの形をみるとか,レース展開をみるとか出来ることは色々である.
それから,そんなことよりも何よりも,映像を記録しておくこと事態が重要であると私は考える.撮影した直後にはさほど役に立たないかもしれないが,撮影することで,あとで見直すことができるようになる.記録しなかった「走り」はあくまでも淡くて曖昧な記憶であるため,結構あてにならないものである.記録しておけば,あとで確認することが可能になる.そしてこれを利用するのは我々だけに限ったことではなく,選手自身やコーチだって利用することができるわけである.調子の良い選手は自分の技術を確認したり,技術に悩んだりすることはない.というより悩んだり気にする必要はない.しかし,そのような調子の良い時の技術は客観的に記録しておかなくては,いつか調子が悪くなったときに,その原因を検討したり,修正したりすることが出来ないのである.
また,競技場内でこのように競技を記録している姿を見せることにより,学生への刺激や教育になると思う,スポーツ科学はこうやって実践して役に立つんだぞっていう教育に.....そして,私のゼミに入ると何をするのかということも明確になるだろうし,学生が将来的に社会に出て行った時に,大学で得た知識をいかにして役に立たせるかということも明確になるだろうと思う.

ところで,観戦した競技の結果であるが,私的にはかなり満足いくものだった.
一日目,接戦の続いたハンマー投げで,ファールを続出させていた日下部くんは,少しずつ技術を修正したのか,最後の一投で大逆転をして優勝を勝ち取った.これには大変驚いた.しかし,それ以上に私が感動したのは,競技を終えてスタンドの応戦席に戻ってきた彼が,同級生の主務である小山君にお礼を言っていた姿だった.やはり,対校戦は選手個人の戦いではなくて,チームでの戦いである.勝った上でそれを忘れていなかった彼は偉い!
この数ヶ月,ハードリングの分析に時間を費やした秋山くんは,110MHで見事3位に入賞した.また,研究室に何度も通い,自分のハードリングの映像を何度も何度も繰り返し確認していた古川くんも2位に入賞した.秋山くんにしてみれば後輩に負けてしまったわけであるが,互いに練習をした2人だからこそ,それを悔しさではなく喜びと捉えることができたであろう.勿論,1位と2位だったらもっと良かったのだけれどね.この種目の記録は14秒台と,例年に比べるとレベルは少々低かったのだが,それでも彼らが競技場外でも頑張る姿を見てきた私としては,大変嬉しかった.勿論,映像を見たからといって速くなるわけではないのだけれど,彼らの様な,勝利への執着と努力が大事なのだろう.
男子1500mでの松岡くんの追い込みもなかなかのものだった.このように他の選手も上げだしたらきりがないので,あとはウチのゼミ生が書く予定の「関東インカレ観戦記」に期待しよう.ちなみに短距離は茂木君,跳躍は渡辺君が担当してくれる予定だ.